【世界から猫が消えたなら】の読書感想。映画化されたけど原作はいまいち

NHKの番組『課外授業 ようこそ先輩』に作者の川村元気さんが出演しているのを見た。

川村さんの母校である横浜の中学校で行われた課外授業。『世界から1年2組が消えたなら』という難しい問いに中学生たちがそれぞれの答えを出していく。

「もし自分がいなくなったら世界はどう変わるんだろう」

とても考えさせられる内容。『世界から猫が消えたなら』を読んでみることにした。

2013年の本屋大賞8位。

感想

「死」という重いテーマとは対照的に、非常に軽いノリで描かれていく。特に悪魔と主人公の絡みが軽すぎて、序盤でくじけそうになった。というかくじけた。

作者は映画プロデューサーで映像が専門、またこの作品もLINE小説が元となっているというバックボーンを入れた上で再挑戦。

やっぱり文章が雑、悪魔が軽い、そして猫までがしゃべりだす。またくじけそう。だけど負けない。がんばって読み続けていると、作者の想いは確かに伝わった。

電話が消えた日

携帯はその登場からたったの20年で人間を支配してしまった。なくてもよかったものが、たった20年で、なくてはならないものかのように人間を支配している

待合室、電車、バス、喫茶店。人が集まる場所にいくと、携帯を見ている人の数を数えてみたりする。

みんな同じポーズで同じ行動してて、客観的にみると滑稽なんだよね。あれって。

映画が消えた日

もし自分の人生が映画なのだとしたら。僕はエンドロールのあとも、その人の中に残る映画でありたい。たとえ小さく地味な映画だとしても、その映画に人生を救われ、励まされた人がいて欲しい

自分が死んだら、葬式って誰がくるんだろって考えたりする。著名人の別れに「惜しい人を亡くした」っていうけど、私はそんな感じじゃないな。

誰かの心に残るような、そんな生き方してきてないもの。寂しいな。

時計が消えた日

目の前のことに追われれば追われるほど、本当に大切なことをする時間は失われていく。そして恐ろしいことに、その大切な時間が失われていることにまったく気付かないだ

暇なとき、不安なときに励ましてくれてた友だちに、忙しくなったら会わなくなったことに気づいた。というか、気づいてた。

私のこと応援してくれてたから会わなくても分かってくれる、いつだって会えるなんて思ってたけど、大切なもの置き去りにしてる。

あらすじ(ネタバレあり)

余命7日を告げられた主人公の前に突然あらわれたアロハシャツを着た悪魔。その姿は自分とそっくりだったけれど、性格は正反対な陽気な悪魔だった。

悪魔はささやく。

「世界から何かをひとつ消すことで、あなたに1日の命を与えます」

毎日ひとつずつ何かを消せば、1日また1日と命がつながれていくという。「まだ死にたくない」彼はその取引に応じることにした。

なにを消すかは悪魔が決める。消すか消さないかの判断を委ねられる。すなわち、生きるか死ぬかの究極の選択。

1日目に世界から電話が消えた。2日目に世界から映画が消えた。3日目に世界から時計が消えた。

4日目に悪魔が指定したのは「猫」だった。亡くなった母が大切にしていた猫。その死後もずっと自分と寄り添っていたその存在を消す・・・

彼がくだしたのは「消さない」こと。それは「世界から僕が消える」ことを意味する。

死を目前にしたこの数日間、思いを巡らせたのは、自分の人生と数年前に別れた彼女のこと、亡くなった母のこと、そして母の死以来ずっと会っていない父のことだった。

いよいよ自分が消えてしまうそのときになって、母や父から受け取っていた愛に気づき、絶縁状態にあった父の元へ走りだす・・・

まとめ

毎日を大切に生きること、そんなメッセージは伝わった。それだけに、文章がもったいないなと思ってしまう。

全体的に会話文が目立つ、そこに主人公の日記のような文章が添えられている。

猫が喋りだす展開も唐突だけれど、その口調が「〜でござる」という時代劇風なのがまったくもって理解できない。なんのためにそこ。

佐藤健くんと宮崎あおいちゃんの映画、観たいなーと思ってたけどためらう。いや、映像はきっとおもしろいはず!

 COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。

関連記事

はじめての確定申告が終わった!使用したソフトや参考図書など備忘録

本【明日の食卓】子育てのリアル、虐待へ向かった母親を追い詰めたのはなんだったのか

その生きづらさは自分を守るために身につけたもの。私ってアダルトチルドレンだったの...

せなけいこファン必読!自伝的エッセイ『ねないこはわたし』で、その世界観にひたる

2016年5月に読んだ本まとめ。本当の自信と文章術と、あとやる気と猫と社会問題

子どもの脳死、親は臓器提供の答えをどう出すのか【人魚の眠る家】東野圭吾