聞いてはいたけど、さすがにグロすぎる小説【殺戮にいたる病】の感想

自由な時間
グロい小説は別に嫌いじゃない。これまでも読んできたし、乙一の【GOTH】とかもなかなかだったけど、むしろ好きだし。だけどこれは・・・
グロいの苦手な人には本当おすすめできません。ラストの衝撃はグロおもしろかったけどさ(ボソッ)
(星4つ)

叙述トリックで有名な小説

我孫子武丸さんの【殺戮にいたる病 】は、叙述トリックで有名な作品で、私もそのトリックに期待して手にとりました。

叙述(じょじゅつ)トリックとは?

ミステリ小説において、文章上の仕掛けによって読者のミスリードを誘う手法。具体的には、登場人物の性別や国籍、事件の発生した時間や場所などを示す記述を意図的に伏せることで、読者の先入観を利用し、誤った解釈を与えることで、読後の衝撃をもたらすテクニックのこと。

(引用:)

文字で騙されるってけっこう爽快で、小説の内容もさることながら、すっかり騙されてしまったことがおもしろい。

今回も最後の最後で「うわぁそうだったか!」ってぐらいハメられました。

読後、あらためて読みかえすとね、あぁここほんとだ、うまく書いてるって。だまされたぁっていうのが楽しい。

あらすじ(ネタバレなし)

エピローグは「蒲生稔(がもうみのる)」が逮捕されるところからはじまります。

つづく第一章からは、犯人・蒲生稔がおかした悪夢のような6件の殺人と1件の未遂事件をたどっていきます。

その異常な行動と心理、なにが彼をそうさせるのか。

グロさと格闘した末に待っているのは、衝撃のラストシーンです。

東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるシリアルキラーが出現した。繰り返される陵辱の果ての惨殺。

冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇、平凡な中流家庭のはらむ病理を戦列無比にえぐる問題作。

(引用:「殺戮にいたる病」文庫本)

感想

感想・・・そうだな。

おもしろかった。おもしろかったけど、やっぱりグロすぎた。

小説って、文字で受けとった情報を頭のなかで映像化することが楽しいんだけど、今回は耐えきれず、キツすぎる描写は想像のスイッチをすべてオフったもの。

無で読む。活字を追うだけの作業と化す。

そこまでして読まなくてもって感じだけど、話の行方は気になる!

グロすぎたし、殺人鬼の思考回路ってこうなのかもしれないと思うと、もう彼らのその行為を止めさせるなんて不可能だと、絶望的にも感じたし。

生きてはいないその体を美しいという。

記念にその一部だけでも持ちかえりたいという。

そうやって得た思い出のかけらが、腐敗してしまうまで愛でる。

理解不能。気持ち悪すぎる。

愛しくて美しいから手にかけるっていうその回路が不気味で、おぞましかった。

いいんでしょうか、岡村孝子さん?

そしてそんなおぞましい小説に、その理解不能の行動のさなかにかかるのが岡村孝子さんの『夢をあきらめないで』。

あなたの夢をあきらめないで 熱く生きる瞳が好きだわ

中学生ぐらいだったか、好きでよく聴いていた曲がまさかこんな風につかわれるとは。

そして異常ななかで流れる名曲によって、犯人の狂気が誇張されていくという。我孫子武丸さん、すごいな。

「あれを書いてるときはちょっとおかしかった」と奥さまにいわれたらしいけれど、こんなことを頭の中で創作しているんだから、そうなるのも無理ない。

それだけ魂が込められた作品だし、グロいグロいといっても1992年の発売から25年以上たっても読まれつづけられるんだろうね。

「他の作品に比べてこの本だけダントツに売れている」らしく、ご本人は文庫本のあとがきでこう語っています。

ある一作が売れている、と考えれば喜ばしいことだが、他の作品が売れていない、と考えると途端に悲愴になる。

(引用:「殺戮にいたる病」あとがき)

半分、謙遜だと思うけど、他の作品もまた読んでみようと思います。

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