ある日突然、ママが交通事故でなくなっておばけになってしまうっていう絵本。
ママは冒頭でいきなり死にます。そのあとはおばけになって、息子のまわりを飛びまわり様子をうかがっています。
終盤、ママを亡くした男の子がワンワン泣いて、辛いです。死んだママからの「愛してる」のメッセージが、悲しみを増幅させて残酷です。
「泣ける絵本」といわれてますが、大人には感動の涙だろうけれど、子どもにとっては恐怖の涙。この絵本はつらいな。
(星1つ)
絵本作家せなけいこにとってのおばけ
子どもはおばけが大好きで、せなけいこさんの絵本にもおばけはいっぱいでてきます。
『』という絵本では、いつまでも起きている子どもがおばけになってとんでいってしまいます。はじめてみたときは「こわっ」と思いました。
だけどせなけいこさんが言うには
大人の中には「子どもが怖がってすぐに寝てくれてよかった」という人もいれば、「いきなりおばけになるなんて、意味がわからない」という人もいる。
描いた私は、しつけのためとか、ましてや怖がらせようなんてつもりは全くなかった。だって子どもはおばけが好きでしょう。(中略)
だから、「おばけに なって とんでいけ」と言われたら、「いいよ、とんでいくよ」って言う子もいるの。私の娘もそうだった。
(引用:『』)
せなけいこさんにとって、あくまでおばけは「子どもを楽しませるためのもの」なんです。
そんな気持ちは子どもに伝わるのか、おばけになって飛んでいくこの絵本、うちの子どもたちは大好きです。

絵本作家のぶみにとってのママおばけ
のぶみさんが『ママおばけ』で描くおばけは、”死んだ人”です。しかも死んだママ。
子どもは「ママが死ぬ」という強烈なメッセージをうけとり、絵本のなかで男の子がわんわん泣くシーンに自分を重ね合わせてしまいます。
のぶみさんはそんな風に絵本をよんで泣いてしまう子どもについて
1000人に読み聞かせて気づいたのですが、この本を読んで泣いたり、途中で読むのをやめて逃げちゃうのは、ママが大好きでたまらないことの裏返しなんだろうなと。
(引用:QREATORS)
裏返しというより、ただの恐怖と拒絶 だろうよ……
子どもにとって、ましてや小さな子どもにとって母親とは絶対的な存在で、我が家の小3と年長の息子たちも ”無償の愛” を私にくれます。
よく「母親の無償の愛」とかいうけれど、私は子どもこそが無償の愛だと思う。それほど邪念のないまっすぐな愛情を感じます。
一度、この絵本でお母さんの死を疑似体験した子は、お母さんを大切にするようになります。「死」を想像することで、生きていることを大切にしようという意識が芽生えるのでしょう。
(引用:ウートビ)
そんな疑似体験で「お母さんを大切にするようになる」って本気か。
私には、子どもの恐怖心をくすぐって、彼らの愛情を試しているように思えるし、「ママの死」を想像して泣く子どもをみて自己満足しているとしか思えない。
実際、レビューには「この絵本を読んで泣き続けていた子どもが、私のいうことをよく聞くようになりました」とかいうのもあって、ほんと恐怖だなと思いました。
絵本はもっと優しくていいよ
子育てしてきて「お母さんをもっと大切にしてよ!」と思ったことはありません。
だけどまぁ、「ママを大切にしなさいよ」と伝える絵本はありだと思います。ママだけじゃなく、友だちとか、モノとかね。
だけどその伝え方に、子どもの心をかき乱すような強引さはいらない。
大人はそれまでいくつもの経験をしてきたから、痛みを緩和させる術を身につけたり、痛みのない受け取り方を知っていたりします。
でもまだそれができない子どもには、痛みは痛みのままだし、下手したらその痛みや恐怖をいつまでも残すこともあります。
まだ数年しか生きてきていない子どもたちと、自分たちの感覚を一緒にしてはいけない。
「泣けました」「感動しました」は大人の感覚であって、子どものナイーブさをもうちょっと理解すべきと思います。
絵本作家はもうおいておいて、少なくとも親はそうあってほしい。
▽ そして今度はママをも敵にまわすという。炎上作家。

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