本『クスノキの番人/東野圭吾』ネタバレなし感想。あなたの想いを遺したい人がいますか?

東野圭吾さんの『クスノキの番人』を読みました。

あつき
あつき

大好きな東野圭吾さんの2020年3月の発刊本です。

ねこさん
ねこさん

日中韓の同時発売になったというのも注目だったね。

あつき
あつき

「人殺しの話ばかり書いていると、時折ふと、人を生かす話を書きたくなるのです」という東野圭吾さんの言葉が好き。

クスノキの番人

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東野 圭吾
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ネタバレなし感想

読みながら94歳で亡くなった祖母のことを思い出していた。

大往生で天寿をまっとうした祖母だけれど、晩年は老化による身体能力の低下で車いす生活をおくり、また認知症により日常生活も誰かの介助なくしては過ごせない状態だった。

やがて家庭内介護から介護施設での生活がはじまる。私が子どもたちを連れて施設を訪ねると、祖母はいつも「あんた誰や?」と息子たちにたずねていた。私のことはわかっているようだった。

想い出も思考する時間も失ってしまった祖母をみて「こうまでして生き続けることは本人にとって幸せなんだろうか」と考えていた。

あまりいうとネタバレになってしまうが、この作品で人々はクスノキに「想い」を残す。肉体や心がなくなってしまう前に、自分の想いを神社の御神木であるクスノキに残すのだ。

住処を失ってしまったが残り続ける”想い”の存在と、その力に心を動かされ、涙した。

私は忘れていた。祖母からたくさん教わったこと。子どもだった私に、料理や編み物、お手玉やおはじきで遊ぶことも、教えてくれたのは祖母だったこと。

晩年は祖母とまともに会話をすることなどできなくなっていたけれど、その想いがどこかに残っていたなら、私もそれを受け取ってみたいと思った。そして今まで、祖母が失ってしまった言葉に想いを馳せることがなかった自分に気づかされた。

大切な人に想いを残したい、大切な人の想いを受け取りたい。「クスノキの番人」はそんな物語だ。

そして単なる感動ファンタジーではなく、玲斗と千舟のやりとりを通じて、自分自身が誰かに何かを残せるような生き方をしているか、そんな気付きを与えられる。

伝えたいことなど何ひとつなく生きてきた玲斗が、番人という立場で人々の生き様に触れ、また千舟に導かれながら変わっていく。

難を言えば、玲斗の変化が性急すぎる違和感や、クスノキの謎を解明する展開がやや強引すぎな印象はあったけれども、映像化すると良さそうだなと冷めた算段をしてしまう私でした。

「一張羅」という言葉さえ知らなった玲斗が、語彙力豊富に理路整然と持論を展開するのは、理系作家 ”中の人東野圭吾” がチラつく瞬間でもあった。

クスノキの番人

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主要な登場人物

あらすじ

引用元:実業之日本社HP

文庫本とあとがき

2021年3月現在、文庫化はされていません。

映画・ドラマなど映像化

2021年3月現在、映像化はされていませんが、版元の「実業之日本社チャンネル」にて紹介Youtube動画があります。

東野圭吾『クスノキの番人』スペシャルPV(30秒ver.)

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