小説家っておもしろい!オードリー若林とのトークで魅力が炸裂する【ご本、出しときますね?】

この本、おもしろかった!

BSジャパンで放送されていたオードリー若林正恭さんのトーク番組『ご本、出しときますね?』が書籍化されたもの。

オードリーの若林さんが、毎回小説家を招いてトークを繰り広げるという番組で、朝井リョウさん・西加奈子さん・中村文則さん・角田光代さんなどそうそうたるメンバーが顔を揃えていたらしい。見たかったなぁ。

そもそものはじまりは、読書好きでもある若林さんがプライベートで小説家の方々と親交をもち、その会話のおもしろさを独り占めするのはもったいない!と感じたことがきっかけ。

そのことは本のプロローグにも書かれています。

人としての「小説家」の面白さは、その人が書く作品とはまた別次元のものだ。面白いといっても、僕たち芸人の面白さとはまた違う。

別に高尚なことを語っているわけじゃないのに、むしろくだんないことばっかりなのに、小説家が話すと妙に深く、そして新しく聞こえてくるから不思議なのだ

言葉をつむぐプロたちの会話は、本当におもしろい。

小説のように推敲されたものじゃなくて、ただ口をついて出てきただけの言葉なのに、どこか文学的で、だけど話してる内容はとても身近で

小説好きの人もそうでない人も、彼らの発する『言語力』に感嘆すると思う。

それに加え、同じく言葉のプロとも言える芸人・オードリー若林さんのトーク力もさすがですね。

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面倒くさい朝井リョウ

桐島、部活やめるってよ』や『何者』の著者である朝井リョウさん。

若くして成功した天才というイメージだったのだけど、かなり面倒くさい性格であることがわかって面白かった。

若林:たとえばさあ、作品の感想が来てさ、自分の狙いと違うってことがままあるわけじゃん。そういうときって「違うんだよおお!」って思うの?

朝井:めっちゃ思いますよ。僕、右足→右手→左足→左手って順番に縛り付けて、最後に相手の頭を掴んでワァーって喋る作品を書くことがすごく多いんですよ。

(中略)

朝井:それでも全然違うように読まれちゃうと、「こんなに頑張ったのにダメなら、次はもっと縛り付けなきゃ」って思っちゃう。

若林;縛りが甘かった(笑)

朝井:「も〜っと縛らなきゃ♡」って。

(引用:『ご本、出しときますね?』本文)

一方で、『サラバ!』や『きいろいゾウ』などの著者・西加奈子さんは「そもそもわかってもらおうと思って書いてない」と言う。

小説家によって違うものなんだなぁってそんな人間味が妙に嬉しかったりします。

朝井さんでもうひとつ。メイクの話がおもしろかった。

朝井:今日も、「メイクが必要だったら入り時間を早めます。朝井さん、メイクいりますか?」って聞かれて。そのとき、「いらないです」って答えたら、「あ、朝井リョウって、自分のこと”ノーメイクでテレビに出られる人”って思ってるんだ」って思われるんじゃないかと・・・

長島有:そんなこと考えてたの?

朝井:「まさかその顔でメイクがいらないとお思いで?」って。楽屋裏で小馬鹿にされるんじゃないかと・・・

若林:考えすぎだわ(笑)。じゃぁ、どういう風に(メール)書いたの?

朝井:「メイクはいらないです」の後に、※して、「メイクなしのままテレビに出られると思っているわけではありません」って・・・

若林:いちばんめんどくせえよ!確実に「なんだコイツ」って思われてるよ!

(引用:『ご本、出しときますね?』本文)

朝井リョウさん、面倒くさい・・・笑

この本読んで、かなり好きになりました。同期の成功を妬んでるとか、ロイヤルホストをリスペクトしてる話とか、着眼点がおもしろくて、さすがだなと思います。

クレイジーな村田沙耶香

コンビニ人間』で芥川賞を受賞した村田沙耶香さん。

未だにコンビニでアルバイトをしているという面白い作家さんですが、作家仲間は口を揃えて「クレイジー」だといいます。

本人は否定していますが・・・いや、これは結構やばいでしょう。

「仕事のモチベーションは喜怒哀楽のうち、どの感情か?」と聞かれたときの村田さん。

村田:「喜び」かなぁ。

若林:え・・・喜びであの小説が生まれる?村田さんの本のポップ、「血だらけのナイフ」とか書いてありますけど・・・

村田:だって、人間の未知の部分を知るのって喜びじゃない?

加藤知恵:じゃぁ・・・あの『殺人出産』を書いてたときも、喜んでたの?

村田:うん、すごく喜んでる。

若林:怖いシーンがあるじゃないですか、グロテスクな。まさかあそこも、喜んで書いてるんですか?

村田:殺人シーンを書くことができて、喜びを感じました。

若林;怖っ!単純に、怖い!

加藤:怖い怖い怖い。

(引用:『ご本、出しときますね?』本文)

怖いです、ほんと。同業者の加藤さんも怖いって言うぐらいだから、よっぽどです。

「ここを切るとこんな風に血がでるんだぁということを知れて嬉しかった」とか言っちゃってます。怖い怖い怖い。

コンビニで品出しをしているときに、男の人に抱きつかれたり、ずっと足首を掴まれていた体験を独自の感性で話しています。やばいやばい・・・

どんどん仕事を引き受けちゃう角田光代

八日目の蝉』や『空中庭園』など、私も大好きな作家さんである角田光代さん。

西加奈子さんは角田さんをものすごく尊敬しているそうですが、角田さんがどんな仕事でも引き受けちゃうことに突っ込みまくってます。

かつては角田さん自身「やりたいかやりたくないかがわからない」と頼まれるがままに仕事を引き受けていたそうです。

中には「さすがにこの条件はないな」と西さんが断ろうとした案件などもあったり。

そして西さんを激怒させた角田さんの過去のお仕事エピソードがこちら。

西:雑誌のダイエット特集でな、角田さんが全身タイツ着て、身体に脂肪の線を描かれて、ピーンって立っとるねん!写真見た瞬間「なにやってんねん!」って声が出た。

角田:モジモジくんのスーツみたいのを着たやつですね。

西:あの角田光代やで!わなわなわなってなって、ほぼ怒り気味で「なんであんなん受けたんですか!」って言ったら「痩せたかったから・・・」って。

(引用:『ご本、出しときますね?』本文)

角田さんおもしろい・・・おもしろいけど、私も「あの角田光代」がやってるとびっくりするわ。

西さんの角田愛も伝わって、とてもいいエピソードだなぁって思いました。

小説家の頭の中

そんな個性的な話もあったり、小説を書くときのアプローチや取材のこと、タイトルつけなどについても書かれていて、お仕事読み物としても面白いです。

長島有さんの『パラレル』のタイトル会議の様子もおもしろかったな。

中村文則さんのラブシーンの書き方とかね。そうなんだ、そんなことをして執筆してるのね!と。

作家さんって知的な仕事っていうイメージが強かったけれど、おもしろいしやっぱりすごい。

小説を楽しむのに作家の人間性なんてのは関係ないと思うのだけれど、知ることで違う角度からも小説を楽しめるようになるのかもしれません。

いろいろ読んでみたい本も見つかったし、小説好きにはたまらん本です、これ。

小説家の生態は謎だ。この番組では、小説家が普段何を考え、そうやって作品を生み出しているのか、様々なトークを通してその頭の中を覗いていく。

(引用:『ご本、出しときますね?』本文)

謎の生態をもつ小説家という人たち。謎が深まった部分もなきにしもあらずですが、その作品は魅力的なキャラクターから生み出されているんですね。

いっぱい本を読みたくなってしまいました。

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